雑誌で連載中のコラムをブログ用に編集したWishボーカルスクール&Wishミュージックスクール代表の音楽コラムブログ


by LIFE with MUSIC

プロフィールを見る

最新の記事

生徒数1,000人突破!
at 2016-11-01 00:00
「SONG'S NAGOYA..
at 2016-07-01 00:00
オーディションの目的と意味
at 2016-06-01 00:00
Wish半田サテライト校OP..
at 2016-05-01 00:00
ゼップ名古屋ダブルワンマン公..
at 2016-03-01 00:00
ボイストレーニングの本当の目..
at 2016-02-01 00:00
スクールの成長と2016年
at 2016-01-01 00:00
新時代の音楽ツール(続編)
at 2015-12-01 00:00
Wish合同発表会2015
at 2015-11-01 00:00
グランプリ
at 2015-09-01 00:00
ある音楽少年の物語
at 2015-07-01 00:00
新時代の音楽ツール(後編)
at 2015-06-01 00:00
新時代の音楽ツール(前編)
at 2015-05-01 00:00
音楽の価値
at 2015-04-01 00:00
効率化できないモノたち。
at 2015-03-01 00:00
ギター女子ブーム到来??
at 2015-02-01 00:00
Wishイメージアーティスト紹介
at 2015-01-01 00:00
終わらない会議
at 2014-12-01 00:00
INPUTとOUTPUT
at 2014-11-01 00:00
未完成のパズル
at 2014-10-01 00:00

以前の記事

2016年 11月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 09月
more...

お気に入りブログ

Wish スクール日記

人気ジャンル

ある音楽少年の物語

少年は音楽が好きだった。

やがて、大好きな音楽を自分でも奏でられるようになりたくて、楽器を手にした。
そしてその楽器を何とか弾けるようになると、今度はそれを誰かに聴いてもらいたくなった。

毎晩ベッドの中で、自分がステージで演奏している姿を想像しては、ありもしない夢を見ていた。

そんなある日、知り合いからの誘いで、生まれて初めてステージに立つチャンスが訪れた。
友達や顔見知りが少しいるだけの、小さな公民館のステージだった。

最高だった。
その感動が、その衝動が、その感覚が忘れられなくて、それから幾度となくステージに立ち続けた。

しばらくすると、そんな自分のステージを観て「良かった」と言ってくれる人が現れた。
それが嬉しくて嬉しくて、本当に嬉しくて、もっと練習して、もっと上手くなって、もっとカッコいい音楽を聴かせられるようになりたい、と思い始めるようになった。

それから毎日、一生懸命練習して、来る日も来る日も音楽を奏で続けた。
いつの間にか音楽は「生活の一部」ではなく「生活の中心」になって、やがて「生活の全て」になった。

そしてそんな自分の音楽を「良かった」と言ってくれる人達の顔が、覚えきれないくらいの数になったころ、「さらにたくさんの人達に自分の音楽を聴いてもらうこと」を仕事にする契約を交わし、上京した。

たくさんの人達に自分の音楽を聴いてもらえることが嬉しくて、慣れないテレビやラジオにも出て、着たこともないような服を着てステージにも立った。
たくさんの人達に「良かった」って言ってもらえることが嬉しくて、ただただ嬉しくて、幸せだった。

でもなぜかそれは「自分の音楽」ではないような気もしていた。

たくさんの人達に自分の音楽を聴いてもらうには、音楽以外のこともたくさんしなければならない。
自分がいいと思う音楽だけじゃなくて、たくさんの人がいいと言ってくれる音楽を作らなければならない。

フワフワと地に足が着いてないような、現実感のない日々が過ぎていった。

自分にとっての音楽ってなんだろう?
自分のやりたいことってなんだろう?
自分ってなんなんだろう?

そんなことばかりを毎日考えるようになった。

楽器を始めたばかりのあの頃、毎晩ベッドの中で想像していた自分の姿と、今の自分の姿が違うことは、もう分かっていた。
大好きだった音楽が、大嫌いになりそうで怖かった。

もう自分に嘘をつくのはやめよう。
たくさんの人達の期待を裏切って、たくさんの人達に迷惑をかけて、地元に帰った。

そして今度は、自分の音楽をたくさんの人達に聴いてもらうのではなく、誰かの音楽をたくさんの人達に聴いてもらえるようにする仕事に就いた。

今までとは真逆の仕事だったが、不思議とこの仕事が大好きになった。

そして気付くのだ。

あの頃の少年は「自分の音楽」を誰かに聴いてもらいたかったわけてはなく、「自分らしい音楽」を誰かに聴かせたかったのだと。そしてそれを「良かった」と言ってもらいたかったのだと。

どうか皆さん「自分らしい音楽」を思いっきり奏でてください!
僕はそれを全力で応援します。

(雑誌 REVERSIBLE 2015年7月号掲載)
d0238283_13414.jpg

by wish-producer | 2015-07-01 00:00